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和牛と国産牛の違い

「和牛」と書けるのは、黒毛和種・褐毛和種・日本短角種・無角和種の4品種と、この4品種どうしを掛け合わせた牛で、日本で生まれ、日本で育ったものだけです。「国産牛」は品種を問いません。日本で育った期間が外国で育った期間より長く、日本でと畜された牛なら、乳用のホルスタイン種でも、ホルスタイン種と黒毛和種を掛けた交雑種でも国産牛です。和牛は生まれも育ちも日本なので、かならず国産牛でもあります。二つの値札の違いは、産地ではなく、品種を名乗っているかどうかです。

国産牛品種は問わない。日本で育った期間が外国より長く、日本でと畜された牛
和牛4品種とその掛け合わせで、日本で生まれ、日本で育った牛
  • 黒毛和種
  • 褐毛和種
  • 日本短角種
  • 無角和種
和牛ではない国産牛4品種の外の親がいる牛
  • ホルスタイン種
  • 交雑種(ホルスタイン種×黒毛和種など)
和牛はかならず国産牛。国産牛がみな和牛とは限らない

和牛の4品種

4品種どうしの掛け合わせも、その子どうしを掛け合わせたものも和牛です。片方の親が4品種の外にいると、和牛には入りません。ホルスタイン種の母に黒毛和種の父を掛けた交雑種は、だから和牛ではありません。

品種のほかに、国内で生まれて国内で育ったこと、という条件が付きます。2007年に農林水産省の検討会がまとめた「和牛等特色ある食肉の表示に関するガイドライン」で決まりました。和牛の精液や牛そのものが海外に出て、向こうで掛け合わせた牛の肉が日本に入ってくるようになり、消費者が「和牛」を日本の牛と思って買う以上、生まれ育ちも条件にする、という判断です。同じ理由で、「WAGYU」「わぎゅう」のような似た表示も、「黒毛和牛」「褐毛和牛」のような品種名の表示も、和牛の条件を満たす肉にしか使えません。ガイドラインは法律ではなく、牛と豚の生肉を売るすべての事業者に向けた指針で、表示の根拠になる証明書や伝票をそろえて問い合わせに答えられるようにしておくことも求めています。

この図鑑に載っている国の登録(GI)がある牛の銘柄は、ほとんどが黒毛和種です。神戸ビーフも但馬牛も飛騨牛も黒毛和種。褐毛和種はくまもとあか牛、日本短角種はかづの牛です。そして十勝若牛はホルスタイン種の銘柄で、GIに登録されていても和牛ではありません。GIの登録は産地と作り方の約束、和牛の表示は品種と生まれ育ちの約束。別の決まりです。

国産牛の決まり

「国産」の線引きは、全国食肉公正取引協議会の「食肉の表示に関する公正競争規約」にあります。国内で飼われた期間が、外国で飼われた期間より長い牛を、国内でと畜した肉が国産品です。外国で生まれて子牛のうちに日本へ来て、そのあと長く日本で育った牛も、国産牛になります。品種は関係ありません。

原産地の表示は、国産なら「国産」か、主に飼われた土地の都道府県名や市町村名。輸入なら原産国名です。主に飼われた土地と別の県の地名を書くときは、主に飼われた土地の地名も並べることになっています。値札の「鹿児島県産」や「北海道産」は、この決まりで書かれた産地です。和牛にも、この産地の表示は別に要ります。

値札の読み方

売り場で見るなら、まず品種の言葉があるかどうかです。

「和牛」「黒毛和牛」「黒毛和種」「WAGYU」。どれも、和牛の条件を満たす肉にしか付けられない言葉です。

「国産牛」とだけ書いてある肉は、和牛ではない牛と考えて読みます。和牛の条件を満たしていれば、売る側は「和牛」と書けるからです。品種まで書いてある札なら、「交雑種」「ホルスタイン種」のような言葉が添えてあります。

「黒牛」の文字にも決まりがあります。黒毛和種と取り違えやすいので、黒毛和種でない牛の肉に「黒牛」と付けるときは、品種名か品種の組み合わせを並べて書くことになっています。鹿児島黒牛のように黒毛和種の銘柄もあれば、「交雑種」と添えた黒牛もある、ということです。

自分で確かめたいときは、パックや店の掲示にある個体識別番号を、家畜改良センターの「牛の個体識別情報検索サービス」に入れます。出生年月日、雌雄、品種、どこで飼われてどこへ移ったかの履歴が出てきます。和牛の表示そのものが、この個体識別の仕組みで生まれと育ちを確かめ、登録協会の血統の証明書で品種を確かめる、という二段構えです。売り場の札の裏付けを、同じ番号で自分でもたどれます。

出典

  1. 農林水産省(食肉の表示に関する検討会)「和牛等特色ある食肉の表示に関するガイドライン」(https://www.maff.go.jp/j/study/katiku_iden/06/pdf/ref_data2.pdf・2026年9月25日確認)
  2. 全国食肉公正取引協議会「食肉の表示に関する公正競争規約・施行規則」(https://www.jfftc.org/DATA/Kiyaku_pdf/c10_H_meat.pdf・2026年9月25日確認)
  3. 独立行政法人家畜改良センター「牛の個体識別情報検索サービス」(https://www.id.nlbc.go.jp/top.html・2026年9月25日確認)

公開 2026年9月25日