トップ › 読みもの › 地鶏・銘柄鶏・若どりの違い

地鶏・銘柄鶏・若どりの違い

「地鶏」には国の規格があります。地鶏肉の日本農林規格(JAS)で、在来種の血を半分以上引いたひなを、ふ化から75日以上、28日齢からは平飼いで1平方メートルに10羽までの広さで育てた鶏肉が、地鶏肉です。「銘柄鶏」に国の規格はありません。日本食鳥協会という業界団体の区分で、えさや育てる日数に工夫を加えた鶏を指します。「若どり」は品種でも育て方でもなく、3か月齢未満という月齢の区分です。三つは上・中・下の等級ではなく、それぞれ別のことを言っている言葉です。

地鶏肉の規格

地鶏肉にできるのは、在来種由来の血液百分率が50%以上で、系譜とふ化日の証明があるひなです。血液百分率は、在来種を100%、それ以外の品種を0%として、子は両親の平均で数えます。在来種と外国の品種を掛ければ、子はちょうど50%。阿波尾鶏は父が在来種の軍鶏、母がホワイトプリマスロックという外国の品種で、この50%の組み合わせです。

在来種は、明治時代までに国内で成立したか、それまでに入ってきて定着した鶏の品種のことで、規格の附属書に38品種の名前が並んでいます。軍鶏、名古屋種、比内鶏、薩摩鶏、会津地鶏、土佐地鶏、地頭鶏、烏骨鶏。それに、ロードアイランドレッドや横斑プリマスロックのように明治までに入ってきた外国生まれの品種も、この一覧に入っています。どの在来種がどの銘柄につながっているかは、地鶏の系統図でたどれます。

育て方の条件は三つ。ふ化した日から75日以上育てること。28日齢からは平飼い、つまり鶏舎の中や屋外で、鶏が床や地面を自由に歩き回れる飼い方にすること。同じく28日齢からは、1平方メートルあたり10羽以下にすること。規格は2025年10月に改正版が施行されましたが、この数値は変わっていません。

75日は下限です。国の登録(GI)がある地鶏は、明細書で銘柄ごとの日数を決めていて、どれも75日より長いか同じです。

阿波尾鶏75日齢以上
川俣シャモ80日齢以上
長州黒かしわ80日齢以上
はかた地どり80日以上・特性を確保できる場合75日以上
会津地鶏90〜170日
奥久慈しゃも雄110日齢以上・雌130日齢以上
東京しゃも120日齢以上

「以上」は、それより早くは出荷しないという意味です。阿波尾鶏が規格の75日と同じ線に立っているのに対して、東京しゃもは120日以上、会津地鶏は90日から170日と、倍近い幅があります。同じ「地鶏」の札でも、育てた日数はこれだけ違います。

銘柄鶏という区分

「銘柄鶏」は、一般社団法人日本食鳥協会が1997年に承認した定義にもとづく言葉です。国内で飼育した、地鶏に比べて増体に優れた肉用種、つまり早く大きくなる肉用の品種の鶏で、えさの内容や出荷日齢など、ふつうの飼い方と違う工夫を加えたもの。この定義に、日数や密度の数値はありません。何をどう工夫したかは、銘柄ごとに生産者が決めています。

国の認証ではないので、協会の「全国 地鶏・銘柄鶏 ガイド」に載る銘柄も、生産者からの報告がもとです。ガイドで銘柄鶏に区分されている銘柄も、地鶏に区分されている銘柄も、その区分は生産者の申告にもとづくもので、JAS の認証とは別のものです。銘柄鶏でどんな工夫をしているかは、えさに何を混ぜたか、何日で出荷するかなど、生産者の説明で確かめることになります。

若どりという区分

パックの「若どり」は、農林水産省の食鶏小売規格の区分です。3か月齢未満の食鶏が「若どり」、3か月齢以上5か月齢未満が「肥育鶏」、5か月齢以上が「親」。この規格が主に対象にしているのは若どりと親で、地鶏は種類として別に扱われ、定義と表示の一部だけが当てはまります。

だから「若どり」の札は、鶏の月齢のことしか言っていません。品種も、えさも、平飼いかどうかも、この言葉からは分かりません。75日で出荷された地鶏も、月齢だけを見れば3か月齢未満です。

パックの表示で見分ける

JAS の規格に沿った地鶏肉のパックには、決まった項目が並びます。名称は「地鶏肉」か「地鶏」。「組合せ」の欄には、在来種の血を引いている親の側と、その在来種の名前が「父○○×母○○」「父○○」「母○○」のように書かれます。「飼育期間」は「○○日」「○○日以上」か、「○○日〜○○日」なら差が20日以内の幅で。「飼育方法」は「平飼い」、28日齢から日中は屋外で育てたものなら「放飼い」と書けます。この四つがそろっているのが、規格に沿った地鶏肉の表示です。

逆に、商品名に「地鶏」と入っているだけのパックや、ガイドで地鶏に区分されている銘柄が、JAS の認証を受けているとは限りません。この項目がそろっているかどうかが、見分ける手がかりです。

銘柄鶏は、パックの名前からは工夫の中身が分かりません。えさか、日数か、飼い方か。それは生産者の説明で確かめるものです。若どりは月齢の区分で、それ以上のことは言っていません。値段の差を見比べるときは、その札がどこまでを約束した言葉なのかを、先に切り分けます。

出典

  1. 農林水産省「日本農林規格 地鶏肉(JAS 0844:2025)」(https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_standard/attach/pdf/index-458.pdf・2026年9月25日確認)
  2. 農林水産省「食鶏小売規格」(https://www.maff.go.jp/j/press/seisan/c_shokuniku/pdf/101116-04.pdf・2026年9月25日確認)
  3. 一般社団法人日本食鳥協会「銘柄鶏の定義」(https://www.j-chicken.jp/brand/definition/・2026年9月25日確認)

公開 2026年9月25日