GI と地域団体商標の違い
神戸ビーフは、GI(地理的表示)にも地域団体商標にも登録されています。GI は農林水産省に登録する制度で、明細書に書いた品種や育て方、格付の基準を満たした肉だけがその名前を名乗れます。地域団体商標は特許庁に登録する制度で、その名前を商標として使える団体を決めるもの。肉の基準は、登録した団体が自分で決めて運用します。「○○牛」に GI マークが付いているか、商標の登録だけかで、名前の裏にある約束の種類が違います。
GI の登録
GI は、その土地ならではの自然や人の営みと結びついた品質や評判を持つ産品の名前を、地域の知的財産として国が保護する制度です。登録するとき、生産者団体が明細書を作り、産品の名前、生産地の範囲、特性、そして品種・飼育期間・格付といった生産方法の基準を書きます。登録されると、その基準を満たさない産品はその名前を名乗れません。
牛肉の GI では、特産松阪牛が兵庫県生まれの黒毛和種を12か月齢までに三重県の生産地に入れて900日以上肥育すること、神戸ビーフが歩留 A か B で肉質4等級以上、BMS No.6以上であることなど、名乗るための条件が明細書に並んでいます。国の登録(GI)がある銘柄の条件は、それぞれの銘柄ページで見られます。
地域団体商標の登録
地域団体商標は、地域の名前と商品の名前を組み合わせた商標(「松阪牛」「神戸牛」のような形)を、事業協同組合や農業協同組合などの団体が使えるように、特許庁が登録する制度です。商標法にもとづいて2006年に始まりました。登録簿には、権利者(登録を受けた団体)と、「指定商品」の文言が載ります。指定商品の文言は、たとえば神戸ビーフなら「兵庫県産の和牛の肉」で、産地や品種、生体か食肉かを読み取れる、その商標の一次資料です。
ここで国が審査するのは、その名前を商標として登録できるかどうかです。生産方法や品質は審査しません。名乗るための基準は、登録を受けた団体がそれぞれ決めて運用しています。基準がゆるいという意味ではなく、基準を決める主体が国ではなく団体だ、という意味です。
同じ土地に二つの名前
GI と地域団体商標は別の制度なので、同じ生産物でも、登録された文字列が違えば別の名前として扱われます。三重県の「特産松阪牛」は GI、「松阪牛」は地域団体商標で、それぞれ別の条件を持つ別の登録です。神戸ビーフのように、同じ名前を両方に登録している銘柄もあります。
どちらの登録も、全国の銘柄の母集団ではありません。GI にも地域団体商標にも登録していない、よく知られた銘柄はいくつもあります。登録が無いことは、基準が無いことを意味しません。生産者や団体が自分で基準を決めて名乗っている名前が、たくさんあるということです。
売り場で見るなら、GI マークは「国に登録した明細書の基準を満たした肉」の印、商標の登録は「この団体がこの名前を使っている」の印です。値札の名前がどちらの登録かは、国の登録(GI)がある銘柄と地域団体商標がある銘柄の一覧で分かります。