肉を生で食べる決まり
生で食べるための国の規格基準があるのは、牛の肉(内臓を除く)だけです。ユッケ、タルタルステーキ、牛刺し、牛タタキがこれに当たります。牛のレバーは2012年7月1日から、豚の肉と内臓は2015年6月12日から、生食用として売ることも店で出すことも禁止されています。鶏肉には、牛肉のような国の統一した基準がありません。メニューにユッケがあるのは基準を満たした店、鶏刺しがあるのは自治体ごとの扱いの中で出している店、というのが大まかな地図です。
- 〇牛の肉2011年10月から生食用の規格基準がある(内臓は除く)
- ×牛のレバー2012年7月から生食用の販売・提供は禁止
- ×豚の肉と内臓2015年6月から生食用の販売・提供は禁止
- △鶏肉国の統一基準なし自治体ごとの扱いの中で出されている
牛肉の規格基準
牛肉の生食用の規格基準は、2011年10月1日に施行されました。食品衛生法にもとづく「食品、添加物等の規格基準」を改正したものです。肉のかたまりの表面から1 cm以上の深さまでを60℃で2分以上加熱する、といった条件を施設ごとに決めて、表面を殺菌するという考え方です。基準を作るときに検討された例では、250〜300 gの肉のかたまりを85℃の湯に10分間入れてから氷で冷やします。
保存の温度も決まっていて、冷蔵なら4℃以下、凍らせたものはマイナス15℃以下です。この基準は肉に対するもので、内臓は含みません。牛のレバーはその翌年、2012年7月から生食用としての販売と提供が禁止になりました。
基準を満たしてユッケや牛刺しを出す店は、生食用食肉を扱う営業の許可を受け、講習を修了した「認定生食用食肉取扱者」を置いています。そのことを店に掲示するなどして客に分かるようにすることが、通知で求められています。焼肉店の壁に生食用食肉の掲示があるのは、この決まりによります。同じ通知は、子どもや高齢者など抵抗力の弱い人は、基準に合った肉でも生では食べない、食べさせないように、と周知することも求めています。
豚と鶏
豚は、肉も内臓も、2015年6月12日から生食用の販売・提供が禁止されています。豚のレバ刺しも同じです。
鶏肉には国レベルの統一した基準がありません。厚生労働省の Q&A は、そのうえで、生食用の鶏肉の衛生基準を独自に定めている自治体があると述べています。だから鶏刺しや鶏のたたきは、店のある地域の決まりの中で出されているもので、全国どこでも同じ条件で出ているわけではありません。
厚生労働省の食中毒統計では、2023年のカンピロバクター(ジェジュニ/コリ)による食中毒は事件数211件、患者数2,089人でした。生や加熱の足りない鶏肉、調理中にほかの食材へ菌が移ることが、主な原因として強く示唆されています。地鶏でも銘柄鶏でも若どりでも、この点は同じです。
決まりの所管
生食用食肉の規格基準を含む食品衛生の基準を作る仕事は、2024年度から厚生労働省から消費者庁へ移りました(関連の法律は2023年5月に成立)。ここに挙げた基準や禁止の内容は、移管前の厚生労働省の告示や通知で決まったものです。野生の鹿や猪の肉については、家畜の肉とは別にジビエの衛生の指針があります。