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ジビエを安全に食べる決まり

鹿や猪の肉は、中心部の温度が75℃で1分以上になるまで、またはそれと同じ効き目のある方法で、十分に加熱して食べます。厚生労働省の「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針」が決めている目安で、飲食店で出すときも、狩猟した人からもらって家で食べるときも同じです。生で食べると E型肝炎ウイルスに感染する危険があり、劇症化して死に至ることもあるとされています。家畜の肉と同じ感覚で扱ってよいかといえば、加熱のところだけは、よりはっきり「だめ」と決まっています。

  1. 山で異常があれば食べない獲った場所や弾の当たった所を記録
  2. 処理施設で弾の通った所を切り取る速やかに10℃以下に冷やす
  3. 店と家で中心75℃で1分以上生では食べない、出さない
ジビエが山から食卓に来るまでの決まり

家畜の肉と違うところ

牛や豚や鶏は、飼っている間の健康を人が管理しています。野生の鹿や猪は、山にいる間は誰も管理していません。E型肝炎ウイルスのほかにどんな病原体を持っているか分からない、というのが厚生労働省の言い方です。指針は、見た目に異常が無い個体でも高い割合で微生物や寄生虫を持っているとして、まな板や包丁を家畜の肉と使い分け、使うたびに洗って消毒することを求めています。

指針は2014年11月に作られ、2021年4月と2023年6月に改正されました。鹿と猪を念頭に置いていますが、ほかの野生鳥獣の処理でも同じように気をつけることになっています。対象は主に、不特定の人や多くの人に野生鳥獣の肉を出す人ですが、自分で食べるために処理する人も参考にする、と書かれています。

山から店まで

売られているジビエが、どういう道をたどって来たものかを、指針は一つずつ決めています。

猟のとき、食用にする個体はライフル弾かスラッグ弾で撃ちます。腹に当たった個体は食用にしません。足取りがおぼつかない、挙動がおかしい、ひどく痩せている、大きな傷や膿がある、ひどい下痢をしている。こうした異常が一つでも見える個体は食用にしません。すでに死んでいた個体も、家畜の伝染病が広がっている地域で獲った個体も同じです。わなで獲って運べる個体は、生きたまま処理施設へ運んで衛生的に処理するのが望ましいとされています。

放血に使うナイフは使う直前に消毒し、1頭ごとに洗って消毒するか、取り替えます。屋外で内臓を出すのは、運搬に長い時間がかかるなど、やむを得ないときだけ。出すのは原則として胃と腸で、屋外で出した内臓は食用にしません。消化管が破れて中身が漏れた個体も食用にしません。獲った個体は速やかに、必要なら冷やしながら処理施設へ運びます。

処理施設では、1頭ごとに受け入れてよいかを確かめ、異常があれば搬入せずに廃棄します。解体したあと内臓に異常があれば、原則としてその個体は食用にしません。弾が当たった部分は、弾が通った所も含めて完全に切り取ります。冷蔵の前に金属探知機で弾の残りを確かめることが望ましいとされ、ナイフやのこぎりは1頭ごとに83℃以上の湯などで洗って消毒します。枝肉やカット肉は速やかに10℃以下に冷やし、家畜の肉とは区別して保管します。

狩猟から処理、販売まで、どの段階でも記録を作って残すことになっています。誰がいつどこで獲ったか、どこに弾が当たったか、放血や内臓の摘出をどうしたか、冷やしながら運んだか、放血から施設に着くまで何時間かかったか。食中毒が起きたときに、問題の肉をすぐ特定して排除するためです。

店と家で

飲食店が野生鳥獣の肉を出すときは、食肉処理業の許可を受けた施設で解体されたものを仕入れることになっています。加熱は中心部75℃で1分以上かそれと同等以上。生食用として出すことは「決して行わない」と書かれています。牛肉のユッケのような、生で食べるための規格基準はジビエにはありません。

家で食べるときも同じ温度が目安です。狩猟をする人から譲ってもらった肉も、自分で獲った肉も、指針は同じ扱いにしています。中心まで火が通ったことを確かめる、まな板と包丁を家畜の肉や野菜と分ける、使ったら洗って消毒する。決まりはこの三つに尽きます。

  • 〇中心まで火を通す75℃で1分以上が目安
  • 〇まな板と包丁を分ける家畜の肉や野菜と別に
  • 〇使ったら洗って消毒道具を使うたびに
家でジビエを食べるときの三つ

出典

  1. 厚生労働省「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/GLhonbun_1.pdf・2026年9月25日確認)
  2. 厚生労働省「「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」の一部改正について(生食発0626第2号)」(https://www.mhlw.go.jp/content/001455736.pdf・2026年9月25日確認)
  3. 厚生労働省「お肉はよく焼いて食べよう」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000049964.html・2026年9月25日確認)

公開 2026年9月25日