黒豚の決まり
「黒豚」と書けるのは、バークシャー純粋種の豚の肉だけです。黒い毛の豚なら何でも黒豚、ではなく、品種の名前です。全国食肉公正取引協議会の「食肉の表示に関する公正競争規約」が、決められた品種以外の豚肉に「黒豚」と表示すること、黒豚の肉だと誤解させる表示をすることを禁じていて、その品種は施行規則でバークシャー純粋種と決まっています。
- 〇バークシャー純粋種「黒豚」と書ける。国産でも輸入でも
- ×ほかの品種・交雑種毛が黒くても「黒豚」とは書けない
- 産地を並べて書くかごしま黒豚/米国産黒豚黒豚は品種の名前なので、原産地の表示が要る
バークシャー種という品種
バークシャー種はもともとイギリス原産の品種で、アメリカやカナダでも生産されています。日本でも、種豚の改良のために外国からバークシャー種を入れてきました。だから「黒豚」は、品種を表す言葉であって、国産であることを表す言葉ではありません。外国で育ったバークシャー種の肉も、黒豚です。
そこで、2007年に農林水産省の検討会がまとめた「和牛等特色ある食肉の表示に関するガイドライン」は、「黒豚」と表示するときは必ず原産地を並べて書く、と決めました。「かごしま黒豚」「○○県産黒豚」のように国産なら産地の名前を、輸入なら「米国産黒豚」「黒豚(カナダ産)」のように国の名前を添えます。シールのような任意の表示でも同じです。原産地の文字は、「黒豚」の文字に対して読める大きさにすることになっています。
売り場で「黒豚」の札を見たら、隣に産地があるかを見ます。国産の黒豚は、地域ごとのブランド化が進んできた経緯から、都道府県名などの地名で表示することが望ましい、とガイドラインは書いています。
名前と、育て方の決まり
「黒豚」の決まりは品種だけです。えさや育てる日数までは決めていません。そこから先は、銘柄ごとに生産者や団体が決めています。
たとえばかごしま黒豚は、生産者団体の説明では、バークシャー種(アメリカバークシャーを除く)を使い、肥育の後半に甘しょを10〜20%配合したえさを60日以上与え、おおむね230〜270日齢で出荷するとしています。品種の上に、えさと日数の条件を重ねた名前です。南州黒豚のように、かごしま黒豚の基準を満たしたうえで、えさや水にも自分たちの条件を重ねた銘柄もあります。
豚の肉は、規約では「豚」か「豚肉」と表示するのが基本の形です。「黒豚」は、そこに品種を限った呼び方を重ねたものです。同じ考え方で、和牛は品種と生まれ育ちを重ねた呼び方になっています。黒豚と和牛の違いは、和牛には国内で生まれ育ったという条件が入っていて、黒豚には入っていないことです。検討会では黒豚も国内で生まれ育ったものに限れないかという意見が出ましたが、バークシャー種は海外原産で海外でも広く生産・流通している品種なので、日本で生まれ育ったものに限ることは難しい、という結論になりました。